ジョーンズ・デイ・コメンタリー:オーストラリア連邦裁判所、クラスアクションにおいて原告団の一部に重大な不利益を及ぼすものであるとして和解案の承認を拒否

2016年4月5日、オーストラリアの連邦裁判所は、投資被害を巡るクラスアクションにおいて、当事者による和解案の承認申立てを退ける判断を下しました。和解案の内容は、①被告は原告団への賠償・補償は行わない、②原告団に融資していた銀行は原告団に返済猶予を与える、また③弁護士報酬等の訴訟費用を一部被告が負担するというものでした。これに対し、裁判所は、救済を受けられる資格要件を満たさない原告が多数存在し、そのために上記和解の利益を得る原告が半分以下にとどまること、和解内容に不満のある原告がオプトアウトできないこと、弁護士による原告団への説明・通知が不十分だったこと及び弁護士報酬の金額が過大であることを指摘し、これらの問題点が解決されない限りは和解案を承認しない旨を述べています。

本件は、和解に裁判所の承認を要するというクラスアクションの特殊性に鑑み、当事者間で合意された和解案でも裁判所がその内容を慎重に吟味することがあることを示す事例であり、オーストラリアのクラスアクションの運用実務の一端を示すものとして紹介する次第です。

詳細は、Jones Day Commentary " Australian Class Action Settlements Declined Due to Substantial Detriment to Class Members"(オリジナル(英語)版)をご参照ください。

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