プライベートファンド法(2021年改正)に於ける「プライベートファンド」で定義されるケイマン諸島の全事業体は、ケイマン諸島金融管理局(CIMA)への登録が義務付けられています。

「プライベートファンド」の特徴は、投資リスクを分散させる目的で投資家の資金をプールし、投資家が日常的に投資の意思決定をコントロールすることなく、代わりにファンド運営者(取締役やジェネラルパートナー等)により、またはファンド運営者の代理として投資が管理されることであり、投資家が受ける「投資利益」には、投資から生じる利益や利益に付随する権利が付与されますが、重要なのは、投資家の選択で償還や買戻しができないことです。

従って、プライベートファンド法は、「非ファンド取引」(例えば、ジョイントベンチャー、プロプライエタリ・ビークル、債券発行、債券発行ビークル、ストラクチャードファイナンス・ビークル、企業年金制度、個人年金制度、ソブリン・ウェルス・ファンド、シングル・ファミリー・オフィス、投資持分がCIMAで指定された証券取引所上場ファンド等)または単一の投資家ファンドで、プライベートファンドの定義から外れるものとして除外されない限り、 すべてのケイマン諸島のクローズドエンド型ファンド構造を対象とします。

プライベートファンドとして設立されたケイマン法人は、資本コミットメントの承認から21日以内にCIMAに登録申請書を提出し、投資家からの出資を受ける前にプライベートファンドとして登録される必要があります。

登録はCIMAのRegulatory Enhanced Electronic Forms Submission (REEFS)プラットフォームで電子的に行われ、プライベートファンドが提出する必要があります。

  • 申請書;
  • 法人設立証明書または登記証明書;
  • 覚書や定款、パートナーシップ契約書等の規約文書;
  • 募集条件を記載した募集文書、募集条件の要約またはマーケティング資料;
  • 監査人同意書、および該当する場合は管理人同意書;および
  • プライベートファンド(投資家を除く)、子会社、関連会社の保有状況を示す組織図;
  • 申請料366米ドル;および
  • 登録料4,270米ドル。

全ての必要書類と支払をCIMAが受領した日が、プライベートファンドの登録証に反映される日付となります。

CIMAは、会社単位で構成されたプライベートファンドについては最低2名の取締役、リミテッドパートナーシップのジェネラルパートナーまたは会社取締役については最低2名の個人を義務付けています。

リミテッドパートナーシップとして構成された「プライベートファンド」に選任されたジェネラルパートナー取締役は、ケイマン諸島の取締役登録およびライセンス法に基づく登録の必要はありません。

プライベートファンドは、CIMAが承認するケイマン諸島を拠点とする監査人による会計監査を毎年受ける必要があります。ファンド年次報告書と共に、決算書を当該会計年度末から6ヶ月以内にCIMAに提出する必要があり、IFRSまたは米国、日本、スイス、もしくはリスクの少ない管轄区域のGAAPに従って作成される必要があります。CIMAは、監査に適用される免除と延長に関する方針と手順を発表しました。1ヶ月の延長を最大3回までCIMAに申請することができますが、1回の申請につき610米ドルの手数料がかかります。 また、CIMAは、プライベートファンドの監査済決算書の提出を絶対的または条件付きで免除する裁量権を有しますが、この裁量権は、プライベートファンドが監査済決算書を提出しない正当な理由がある場合にのみ行使され、状況に応じて評価されます。

プライベートファンドは、評価、保管、現金管理の要件に従う必要があり、 適切な資格を有する独立した第三者が当該業務を請け負うことになります。 但し、特定基準に従って、プライベートファンド管理者または運営者、あるいは当該管理者・運営者の管理主体によって社内で行う場合もあります。

プライベートファンドの資産評価は、評価方針に従い、プライベートファンドが保有する資産に適した頻度で、少なくとも年1回実施する必要があります。

プライベートファンドは、ファンドの基準価額が公正で、信頼性があり、完全、中立的で、重大な誤謬がなく、検証可能であることを保証する基準価額計算方針を定め、実施し、維持することが求められます。当該方針は、米国、日本、スイス、またはリスクの少ない法域のIFRSまたはGAAPに従って計算される必要があります。この方針は、ファンドの規約文書、マーケティング資料、またはプライベートファンドが通常使用する他形式の投資家向けコミュニケーション資料に記載し、これを開示する必要があります。

プライベートファンドは、実行が現実的ではない場合または相応ではない場合を除いて保管人を任命し、保管人にファンド資産を保有させ、プライベートファンドがフ ァンド資産の所有権を有していることを確認させて、その謄本を保管させる必要があります。

プライベートファンドのすべての金融資産と負債(すなわちポートフォリオ)は、マネージャー、 運営者、またはファンド資産を保管するファンドが指名する資産保管担当者とは別個に分離して会計処理する必要があります。

プライベートファンドは、キャッシュフローを監視し、全ての現金が現金勘定に計上され、投資家の全支払が受領されたことを確認するために、管理者、保管人、その他の独立当事者、またはマネージャー、運営者、管理団体のいずれかを任命する必要があります。

定期的に有価証券の売買を行う、または有価証券を継続保有するプライベートファンドは、識別コード(国際証券識別番号)の記録を保持し、CIMAの要請に応じて当該情報を提供する必要があります。

ファンド運営者は、CIMA規則に確実に準拠し、ファンドのマーケティング資料と整合性を保ち、ファンドの活動規模、複雑性、性質を投資家に対して適切なものにするために、戦略、方針、管理及び手続を確立、実施、維持(または同様の監督)する必要があります。

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個々の状況に応じて、専門家からアドバイスを受ける必要がございます。CIMAのプライベートファンド登録に関するご質問は、Conyersのお客様担当者か、または下記の担当者までお気軽にお問い合わせください。

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